Postfix チュートリアル

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メールボックス

Postfix がメールをローカルユーザに配送する際、デフォルト状態では「/var/mail/ユーザ名」ファイルに mbox 形式でメールを追加する (OS によっては別のディレクトリかもしれない)。 mbox 形式は Sendmail で良く使用される形式で、1ユーザ1ファイルにすべてのメールが格納される。 1ファイルなので、複数のプロセスが同時にメールボックスを処理するとファイルが壊れる恐れがあるため、排他制御を行なう必要がある。

これに対し、Maildir 形式というメールボックス形式もある。 この形式では、ユーザのメールボックスはディレクトリであり、メールファイルは1メール1ファイルでそのディレクトリ配下に格納される。 その際のファイル名がユニークな名前になるように考えられているため、排他制御の必要はない。 ただし、メールの数だけファイルが作成されるため、iノードを大量に消費する。 場合によっては、ファイルシステムを作り直す必要があるかもしれない。 また、古いメールツールは Maildir 形式をサポートしていないことがある。

mail_spool_directory - メールボックスディレクトリ

ユーザのメールボックスの場所を設定する。 「/var/mail」を指定すると「/var/mail/ユーザ名」がメールボックスとなる。 「/」で終わる値、たとえば「/var/mail/」を指定すると Maildir 形式のメールボックスになる。

デフォルト値は環境依存で、「/var/mail」「/var/spool」「/usr/spool/mail」のいずれかになる。

home_mailbox - ホームディレクトリからの相対パスでメールボックスを指定する

ユーザのホームディレクトリからの相対パスでメールボックスを指定する。 たとえば「home_mailbox = mbox」と指定して、ユーザ tommy のホームディレクトリが「/home/tommy」の場合、「/home/tommy/mbox」がメールボックスになる。 mail_spool_directory と同様に、「/」で終わる値を設定すると Maildir 形式のメールボックスになる。

このパラメータが指定された場合、mail_spool_directory は無効になる。

mailbox_delivery_lock - mbox 形式の排他制御方式

mbox 形式でメールを配送する際の、排他制御の方式を指定する。 メールボックスをアクセスする他のプロセスと方式を合わせておく必要がある。 「flock」「fcntl」「dotlock」のうち、システムで有効な値を指定できる。 実際に指定可能な値の一覧は「postconf -l」コマンドで表示できる。


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TOMITA Masahiro
Last modified: Thu Jul 1 01:35:36 JST 2004